どうしたら「ファン」になってもらい、
「選ばれる」ブランドとして認識されるのか
AdverTimes.Days
(アドタイ・デイズ)
2023.09.27
【目次】
ゲストプロフィールJALのブランドコミュニケーション戦略とファミリー丸ごとファン化を狙う取り組みとはお客様が航空会社を選ぶ基準空白の期間を埋める日々のコミュニケーションSNS・WEBコミュニケーション方針と運用各種施策と年齢別ターゲティング花キューピットに学ぶ、マーケティングリーダー戦略~No.1の選択肢になるために~花キューピットの事業領域コロナ禍による競争環境の変化マーケティング方針とアドテクの活用市場拡大への取り組みごっこランド出店の目的・狙いごっこランドについて
本日は『どうしたら「ファン」になってもらい、「選ばれる」ブランドとして認識されるのか』というテーマで、 JAL(日本航空)より山名さん、花キューピットより大橋さんをお招きしてお話を伺いました。
ゲスト
山名 敏雄(やまな としお)
日本航空株式会社
Web販売部 マネージャー
大橋 俊彦(おおはし としひこ)
花キューピット株式会社
執行役員 営業事業本部 ウェブストラテジー事業部長
JALのブランドコミュニケーション戦略とファミリー丸ごとファン化を狙う取り組みとは
お客様が航空会社を選ぶ基準
「航空会社は何を基準に選ばれるか」よく社内でも議論しています。 例えば運賃が安いところを選びたいとか、サービスが良いところを選びたいとか、人それぞれだと思います。
社内では、「機内食がおいしい方」「椅子が広いところ」など、 ハード面やソフト面でのサービスの差が大きな決め手になるのではないか、という意見が多かったのですが、数年前に大規模なリサーチを行ったところ、そういったご意見もあった一方でそれ以上に多かった意見が「その航空会社が好きだから選ぶ」という方が非常に多かったです。
「好き」という気持ちで選ばれていると。 何をきっかけに好きになるのかというと、飛行機に乗ったときにちょっとワクワクする体験をしたとか、空港職員からの手書きメッセージをサプライズ的にもらったとか、ちょっとスペシャルなサービスを受けたとか、これも人それぞれですが「何かしら好きになるきっかけ」があって、それ以降はお値段などの条件面で差がないときには「好きな航空会社を選びます」という意見が非常に多かったというのがそのリサーチの結果でした。
空白の期間を埋める日々のコミュニケーション
年間通じて飛行機を利用する回数は人によって差がありますが、毎月半分以上は飛行機に乗っているという人はほぼいないですよね。
出張などで利用する方でも週に1回とか、多くは帰省や旅行で年に数回、という方がほとんどかと思います。
JALというブランド名は一度は見聞きしたことがあると思うのですが、普段の生活の中で見聞しているかというと、たぶんそんなことはないですよね。
飛行機に乗るとき、予約するとき、そのときぐらいしかお客様とブランドとの接点がなく、 テレビCMを派手にやっているわけでもないですし、 街中に看板などがたくさんあるわけでもない。
つまり何もしないと「全く接点がない状態」というのが航空会社という業態の特性なのかなと思っています。
例えば、日用品メーカーさんや飲料食品メーカーさん、リテールさんなどは普段の生活の中で、家の中にも商品があって毎日目に触れている、 あるいは通勤通学途中で店舗を毎日見ているというように、何かしらそのブランド接点が日常的にあるかと思います。
航空会社の場合には、飛行機を利用しない空白の期間に、いかにコミュニケーションをとっていくかというのが非常に重要になります。
いざ1年に1回、飛行機に乗るチャンスの時に、第一想起してもらえるかどうかというのは、日々のコミュニケーションにかかっていると思っています。
そこで我々はお客様との接点が持てない「空白の期間」を埋めるべく、日々SNS等を使って生活者の方とコミュニケーションを図りながら繋がっていくということを推進しています。
JALのSNS・WEBコミュニケーション方針
あくまで私のイメージですが「3大SNS」の特徴で言うと、Xは最新の情報をいち早く知った人がみんなに教えてあげたいという目的が強いのかなと思うので、従来の媒体でいうと「週刊誌」に例えられると思っています。
Facebookは実名メディアであまり炎上しにくく、比較的長い文章で書いたとしてもしっかり読んでもらえるという特徴があるので、従来媒体でいうと「新聞」になるのかなと。
Instagramは画像がメインになりますので、例えば「雑誌」のような媒体イメージだと考えています。
こうしたSNS媒体の特性を理解・意識した上で、どのような媒体でどういうコミュニケーションをとるかは考えていく必要があると思っています。
JALの公式アカウントでは四象限でプロットしてコミュニケーション施策を考えています。 縦軸が旅行への興味・関心で、横軸がJAL・飛行機の好感度になります。
飛行機やJALの好感度という軸で見ると、どちらも好きな人は多分「コミュニティ」のようにファン同士で盛り上がってもらうような施策が一番いいのかなと思っています。
一方で どちらにも興味・関心がないという層へのアプローチが一番難しいところではあります。
どちらにも興味がないということは、独自のコンテンツでは勝負できないと割り切って、強力な外部のコンテンツと一緒にコラボレーションして、コミュニケーションしていくということが必要だと思っています。
そういった取り組みを通じて、今まで旅行にもJALにもあまり関心がなくても、例えば地方でコンサートがあるから飛行機を利用するとなった時に、 じゃあ好きなアイドルがCMに出てるからJALで行こう!というように、新しい接点が生まれる機会を創出できると思っています。
JALのSNS運用
SNSアカウントの中ではFacebookを最初に開設しましたが、きっかけは2010年の経営破綻でした。
たまたま我々はインフラということもあって、 再生の機会を与えていただいたので、 それに対する感謝の気持ちやこれから再生に向けて社員で一丸となって取り組んでいく姿を世の中の人に少しでも発信できないかということで、 当時ちょうど日本にもFacebookが入ってきて、 比較的広がっていた時期だったので、 我々もこれを使って発信をしていこうということで始めたのがきっかけでした。
ちなみに、経営破綻前のJALに対する世間のイメージでいうと「官僚的」とか「顔が見えない」という2つだったんですね。
こういったイメージも払拭したいという思いもあり、Facebookで発信を開始したのですが、Facebookの実名顔出しというカルチャーにのっとって、 我々も社員が実名顔を出して、自分の言葉で語ると。
これがFacebookでのコミュニケーションの基本になっています。
1つ投稿を紹介します。こちらはアカウント開設2日目にある機長が投稿した内容になりますが、東日本大震災が起こった後で東北にお客様と物資を運ぶということをやっていました。
この機長は山形空港に臨時便をこれから運航するというタイミングで、復興にかける想いなどを語ってもらいました。
機長って普段、飛行機に搭乗する際もあまり目にする機会がないと思うんですね。 多分操縦席からアナウンスがあるぐらいの接点だと思うのですが、やっぱりインターネット越しとはいえ実名と顔を出して自分の言葉で語られると、 皆さんすごく親近感を持たれるみたいで、 隣のおじさんに話しかけるようなコメントが入ったりなど、そういったコミュニケーションが起こりました。
まさにこれが狙っていたコミュニケーションで、いまだにこの投稿は我々が日々投稿する記事を作るときも、お手本にしている一つです。
インスタグラムについては、ちょっとこの週末旅行に行きたいなとか、次のお休みの時に旅行に行きたいなと思ってもらえればと。
そういうライトな気持ちで運用しています。ただ世界観は崩したくないので、フィードは世界観重視、ストーリーズの方ではキャンペーンの高知など社内からの要望に応えるという形をとっています。
最後にXですが、主に2つのアカウントで運用しています。
1つはお得な運賃とかツアー情報で、 もう1つは日々の運行情報です。
Xでは投稿だけではなく、リプライがすごく重要だと思っていて、 なかなかリソースの関係でここまで手を伸ばせない方もいらっしゃると思いますが、 投稿の本数を減らしてでもしっかりリプライをしていくことによって、お客様とのエンゲージメントが強くなるのかなと感じています。
JALのファンコミュニティ
2019年からトリコという旅のコミュニティーサイトを運営しています。
SNSでは我々の発信に対してファンの方がコメントしてくれ、我々がお礼のコメントするという「JAL」と「ファン」とのコミュニケーションはできるのですが、ファン同士での会話はなかなか生まれないので、こういったコミュニティーを立ち上げました。
JALファンの方も一定数いるのですが、旅行は好きだけどそこまでの熱量ではないという方もいらっしゃるので、 そういう方がJALファンの熱い投稿を見てどんどんJALファンになっていくという現象もコミュニティーでは生まれています。
JALが実施するSNS・各種施策と年齢別ターゲティング
JALが実施している各種施策とSNSのターゲティングを年齢別に見たときの話になりますが、大体12,13歳から70代まで網羅的に実施している一方で12歳以下にはなかなか発信できていないということがわかりました。
下の年齢になるほどスマホを自分で持っていない割合も多く、そもそもSNSをやっていないことも大いにありますよね。
そこでキッズスターさんの「ごっこランド」に僕らもパビリオンとして出店させていただき、未就学児~10代前半のお子さまとその親御さんに向けたコミュニケーションを図っているというところです。
花キューピットに学ぶ、マーケティングリーダー戦略~No.1の選択肢になるために~
花キューピットの事業領域
花キューピット株式会社は実は「お花屋さん」ではなくインターネット専業の会社で、実態としては4,100店舗の全国にあるお花屋さんの集まりのネットワークです。
事業の概要としましては、ECサイトを中心に「お花を注文したい人」を集め、そこから4,100店のお花屋さんのネットワークに「ここにお花を送ってください」と依頼をかけるという事業になっています。
北海道であっても沖縄であっても、我々が起点となりお届け先に一番近いところのお花屋さんから届けてもらうという形になるので「中間輸送が一切発生しない」今時のSDGsにも配慮したビジネスモデルだったりします。
コロナ禍による競争環境の変化
我々はコロナ禍に入ってから競争環境がとても変化しました。
2020年以降、巣ごもり需要でフラワーギフト市場はもちろん、ギフト市場・EC市場が急拡大しました。
この時に「気づいてもらった」というのが大きいところなんですが、2021年以降はリアルで影響を受けた事業者がECへ転換する動きも増え、広告費(CPC、CPA)がどんどん上がっていくという状況が、予想できましたし、実際に高騰しました。
我々はそんな中でもマーケットリーダーとしてさらなる投資を行い、シェアの維持、拡大をしていくという必要があるということで、 戦略を考えてきました。
花キューピットのマーケティング方針とアドテクの活用
マーケットリーダーとして「シェアの維持・拡大」をするために「花キューピット」で指名検索をする層はもちろん確実に取っていかないといけないのですが、それより前の顕在層、潜在層のところに大きくアプローチして行く必要があると考えました。
これまでの課題としては、検索広告やショッピング広告を実施してはいるものの「母の日 花」というキーワードだと普通にコンバージョンするところが、「恋人 プレゼント」だとコンバージョンしないと。
ここが取れてなかったことも課題でしたが、このキーワードを入れることによってCPCやCPAがどうなるかという部分を検証・把握できないという点が課題でした。
そこに機械学習を活用したアプローチ、これができるようになってもう数年経ちますが、どの媒体でも機械学習を活用できるようになり、実はこのキーワードでもコンバージョンが取れてた、そして意外とCPAも安かったということがわかるようにあなりました。
普通に人間が考えて「このキーワードもありえるかな、でもCPC・CPAがきっと高いよね」と実行できていなかったところや、そもそも思いつかないキーワードもあったり。
ここはもうAIや機械学習に頼るしかないと良い意味で割り切って活用しています。
全体的なファネル別施策としては認知→検討→行動に至るまでいろんな策をやってきました。
やはりファネルごとに合う媒体というのがあり、それぞれに機械学習を活用してアプローチをしていくというところがポイントですね。
市場拡大への取り組み
もう1つマーケットリーダーとしての役割として、市場の拡大もあると考えています。
我々はEC事業者ですので、先ほどの「検索キーワード」などそういった施策に重きを置きがちですが、 市場全体を拡大していくためには検索以外のところで何をするかが重要になります。
市場を拡大していくためには「ギフト自体を忘れている層」にも気づいてもらう必要があります。
さらにそこから顕在層へ引き上げていくために、当社はデモグラ的なターゲット設定をあえて行っておりません。特定の趣味趣向をもった人たちへのトライブマーケティングの形です。
ギフトを贈ることのきっかけづくりとして、コラボ企画も多数行っています。
本当に様々な企画を行ってきたのですが、プロジェクトとブランド・サービスとの親和性という部分は外さずに、でもなんかちょっと面白そう!と思ってもらえる企画を考えています。
キッズスターさんとの「ごっこランド」についても、そういう目的ですね。
お子様がいるご家庭に、お花屋さんが何かちょっと面白そう、 花キューピットってちょっと面白そうと思ってもらえることが一番の狙いどころかなというふうに思っています。
ごっこランド出店の目的・狙い
JALさんとは「JALのお仕事体験」、花キューピットさんとは「花キューピットのお花屋さんごっこ」というパビリオンでご一緒しています。
JALの出店目的・狙い
1つ目:「三つ子の魂百まで」
幼い頃に好きだったものは大人になってからも好き、意識してしまう。という経験ってありませんか?
生まれて初めての体験ってすごくその後の人生にも影響を及ぼすと思うので、早いうちに「飛行機といえばJAL」と思っていただきたいという狙いです。
2つ目:「子供の好きは親も好き」
お子様がいらっしゃる方だと経験があると思いますが、 自然と子どもの好きなものを選んでいる、ということってありますよね。
そうしているうちに気づくと親もそれを覚えている、好きになっているという。
ごっこランドは子ども向けのコンテンツではあるものの、同時に親世代にも親しみを感じてもらえるツールだと思っていますので、子どもだけでなく親世代へのブランドイメージの向上というところも狙いの1つです。
花キューピットの出店目的・狙い
1つ目:サービスの刷り込み
先ほどファネル別戦略の話しをしましたが、そういった広告が届かない層も当然あります。
「広告が届かない層」と長期的かつ日常的なタッチポイントを作り、競合との差別化をはかることが1つ目の狙いでした。
2つ目:フラワーギフト市場の拡大・育成
市場拡大のためにギフト潜在層をフラワーギフト顕在層に引き上げていく。ギフトを利用したことのない層にも知ってもらうきっかけづくりのようなイメージです。
また、ごっこランドの対象である小さい子に「次世代教育」という堅苦しい言葉ではなく、「お花屋さんになりたい」と思ってもらいたいんですね。ひいてはそれがフラワーギフト業界全体への貢献につながると思っています。
ごっこランドについて
全国600万のファミリーと日常的なタッチポイントを創出する、マーケティング・ブランディングツール。良質な体験型コンテンツを通して、出店する企業・ブランドの「理解」を深め、「好き=ファン」を生み、最終的に「行動」に繋げるための取り組みとして業界を代表する70社以上の企業・ブランドが導入中。
https://www.kidsstar.co.jp/gokkoland
キッズスター
子どもの夢中を育て、応援することをミッションとし、子ども・ファミリー向けのデジタルコンテンツ事業を展開。企業のマーケティング、ブランディング、ファン作りをサポートしている。
