顧客体験価値(CX)とは?顧客満足度との違いや手順、事例を解説
顧客体験価値(CX)とは?顧客満足度との違いや手順、事例を解説
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「顧客の心をつかみ、選ばれ続けるブランドになりたい」——そう考えるマーケティング担当者や広報・ブランディング担当者が、近年注目しているのが「顧客体験価値(CX)」です。
社会体験アプリ「ごっこランド」を提供する株式会社キッズスターが、顧客体験価値の基本的な考え方から、顧客満足度との違い、重要視される背景、具体的な向上手順、測定指標、そして国内外の成功事例までを体系的に解説します。この記事を読み終えたとき、自社のどのフェーズの体験価値を高めるべきか、まず何から着手すればよいかが明確になっているはずです。
顧客体験価値(CX:Customer Experience)とは、顧客が商品・サービスを知り、比較・購入し、利用やサポートを受けるまでの一連の接点を通じて感じる、利便性や満足感、感情、印象などを含む体験全体の価値です。
観点 | 顧客満足度(CS) | 顧客体験価値(CX) |
捉える範囲 | 商品購入やサービス利用、問い合わせ対応など、特定の接点に対する満足度 | 認知・検討から購入、利用、アフターサポートまで、一連の接点で生まれる体験 |
評価のタイミング | 購入後・利用後・問い合わせ後など、特定のタイミング | 顧客との一連のプロセスを通じて継続的に捉える |
評価する対象 | 特定の接点に対して、顧客がどの程度満足したか | 各接点を通じて、顧客がどのような体験や印象を得たか |
主な指標 | CSAT(顧客満足度スコア)など | NPS®・CSAT・CESなど、目的や接点に応じて複数の指標を活用 |
顧客体験価値とは、企業と顧客のあらゆるタッチポイントを通じて積み重ねられる、顧客にとっての心地よさや納得感の総和です。似た言葉に「顧客満足度(CS:Customer Satisfaction)」がありますが、両者は対象とする範囲が異なります。
顧客満足度(CS)は、商品購入やサービス利用など特定の接点に対する満足度を評価する考え方です。一方、顧客体験(CX)は、認知・検討から購入、利用、アフターサポートまで、顧客と企業との一連の接点で生まれる体験を捉えます。
顧客体験価値の考え方を広めたのは、米国の経営学者バーンド・H・シュミット氏です。同氏は著書の中で、顧客体験を形づくる価値を「Sense(感覚)」「Feel(情緒)」「Think(思考)」「Act(行動)」「Relate(関係)」の5つに分類しました。この学術的フレームワークは、現在も体験設計を考えるうえでの基本の枠組みとして広く活用されています。
要素 | 内容 | 具体例 |
|---|---|---|
Sense(感覚的価値) | 視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚など五感を通じて得られる価値 | 店内のBGMや香り、商品の質感、デザインの美しさ |
Feel(情緒的価値) | 喜びや安心感、愛着など感情面に働きかける価値 | 丁寧な接客、温かい対応による「また来たい」という気持ち |
Think(思考的価値) | 知的好奇心や創造性を刺激する価値 | 商品の仕組みを知る面白さ、学びのある体験 |
Act(行動的価値) | 行動やライフスタイルの変化によって生まれる価値 | 新しい習い事への挑戦、体験型アクティビティへの参加 |
Relate(関係的価値) | 特定の集団やコミュニティへの帰属によって得られる価値 | ファンクラブやオンラインコミュニティへの参加 |
この5つの要素は独立したものではなく、複数が組み合わさって一つの体験を形づくります。自社の商品・サービスがどの要素で顧客に価値を提供できているか、あるいは不足しているかを棚卸しすることが、体験価値向上の出発点になります。
顧客体験価値への関心がここまで高まっている背景には、消費者の価値観や市場環境の変化があります。ここでは代表的な4つの理由を解説します。
かつての消費行動は、商品を「所有すること」に価値を見出す「モノ消費」が中心でした。しかし市場が成熟し、多くの商品が行き渡った現在では、購入や利用を通じて得られる「体験」そのものに価値を見出す「コト消費」へと消費者の関心が移っています。
さらに近年は、その場・その瞬間でしか味わえない非再現性のある体験に価値を見出す「トキ消費」も注目されており、限定イベントやライブ配信への参加意欲の高まりにつながっています。企業にとっては、商品の機能だけでなく、体験そのものをどう設計するかが問われる時代になったといえます。
技術の成熟によって、多くの業界で商品の機能や品質の差が縮まる「コモディティ化」が進んでいます。価格競争だけで優位性を保つのは体力を消耗するため、購入前の情報収集から購入後のフォローまでを含めた「体験全体の心地よさ」こそが、価格競争から一歩抜け出すための差別化要因になっています。
デジタル広告の競争激化や個人情報保護の強化により、新規顧客の獲得効率を維持することが難しくなっている企業も少なくありません。一方で、既存顧客との関係を維持・深化させるコストは新規獲得よりも低く抑えられる傾向があり、「新規を追う」だけでなく「既存顧客にどれだけ長く選ばれ続けるか」を示すLTV(顧客生涯価値)が経営指標として重視されるようになりました。顧客体験価値を高めることは、リピート購入や継続利用、推奨意向などを通じて、LTV向上につながることが期待できます。
LTVの最大化に向けた具体的な考え方や施策については、以下の記事もあわせてご参照ください。
SNSやレビューサイトの普及により、顧客自身が商品やサービスの体験を発信し、その情報が多くの人に共有されるようになりました。良い体験だけでなく、ネガティブな体験も広がりやすいため、一人ひとりの顧客との接点で生まれる体験の質は、ブランドイメージにも影響を与える重要な要素となっています。
顧客体験価値を高める取り組みは、単なる「顧客満足のための施策」にとどまらず、経営に直結する複数のメリットをもたらします。
商品や価格だけでは差がつきにくい市場において、体験の心地よさという軸での強みを持つことは、価格競争から距離を置いた独自のポジションを築くことにつながります。
期待を超える体験は、顧客の企業やブランドへのロイヤルティを育みます。質の高い顧客体験の積み重ねは、ブランドへの愛着や推奨意向を高め、自発的な口コミや情報発信につながる可能性があります。特にファミリー層・子ども向けの分野でファン化を進めたい場合、日常的な接点を継続的につくれる社会体験アプリ「ごっこランド」の活用がおすすめです。
顧客体験価値の向上によってリピート購入や継続利用につながれば、LTVの向上が期待できます。その結果、単発の売上だけに依存しない、中長期的な収益基盤づくりにもつながります。
体験価値を高める過程で集まる顧客の本音(VOC:Voice of Customer)を分析することで、既存の商品・サービスの改善点や、これまで気づかなかった新しいヒット商品のヒントが見えてきます。VOCは顧客満足度を高めるだけでなく、事業成長のための貴重な情報源にもなります。
顧客体験価値を高めるための取り組みは、思いつきの施策から始めるのではなく、現状把握から効果検証までを一連のプロセスとして設計することが重要です。ここでは代表的な6つのステップを紹介します。
具体的な手法に着手する前に、現在の社内フローや事業戦略全体の中で、どこにボトルネックがあるのかをまず言語化・可視化することが出発点になります。
ペルソナを設定したうえで、認知から比較検討、購入、利用、サポートに至る時系列に沿って、顧客の行動・思考・感情と、企業との接点を書き出していきます。マーケティング部門だけでなく、営業やサポート部門など、実際に顧客と接する複数の部署を巻き込みながら作成することで、顧客視点からずれない実用的なマップになります。
アンケートや問い合わせ履歴、SNS・レビューサイトなど複数のチャネルから顧客の本音を集め、ジャーニーマップ上で「期待を裏切っている箇所」、つまり体験のボトルネックを特定します。匿名で回答できるアンケートは本音を引き出しやすく、SNSのモニタリングはリアルタイムの反応を捉えるのに適しています。
特定したボトルネックを解消するための施策——Webサイトのユーザーインターフェース改善、部門間のサポート連携、顧客ごとに最適化された提案など——を企画し、実行に移します。
店舗での購買データやECサイトでの行動データなど、複数チャネルの顧客データを活用する場合は、必要に応じて情報を連携・一元管理できる環境を整えます。CDP(カスタマーデータプラットフォーム)やCRMなどを活用して顧客ごとの情報を把握することで、一人ひとりのニーズや行動に合わせた施策を検討しやすくなります。
施策の実施前後でNPS®などのスコアがどのように変化したかを数値で評価し、改善を繰り返すPDCAサイクルを回します。数値化することで、社内での合意形成や、次の施策への投資判断がしやすくなります。
指標 | 測定するもの | 質問の一例 |
|---|---|---|
NPS®(ネットプロモータースコア) | 他者への推奨意向 | この商品を友人や同僚にどの程度勧めたいですか? |
CSAT(顧客満足度) | 特定の購入・サポート直後のスポットの満足度 | 今回の対応にどの程度満足しましたか? |
CES(顧客努力指標) | 手続きや操作にかかった手間・ストレスの少なさ | 目的を達成するまでの手続きは簡単でしたか? |
顧客体験価値の代表的な測定指標には、NPS®、CSAT、CESがあります。顧客体験価値は「感じ方」という定性的な要素を含むため、感覚だけで語られがちですが、実務では数値指標を用いて客観的に評価することが欠かせません。代表的な3つの指標の特長を整理すると、以下のようになります。
NPS®は「この商品や企業を友人・同僚にどの程度勧めたいか」を尋ね、数値化する指標です。顧客の推奨意向を把握する指標として、CXの評価にも広く活用されています。
CSATは「今回の対応はいかがでしたか」といった形で、購入直後や問い合わせ直後など特定のタッチポイントに対する満足度をスポットで測定します。特定の接点における改善点を洗い出したいときに適した指標です。
CESは「手続きは簡単だったか」を測ることで、顧客が感じた手間やストレスといった、いわば「マイナスの体験」を検知するための指標です。目的自体は達成できていても、そのプロセスが煩雑であれば満足度は下がるため、CESはNPS®やCSATを補完する役割を果たします。
顧客体験価値の考え方を実際のビジネスに取り入れている企業の事例を3つ紹介します。
スターバックスは、コーヒーそのものの品質だけでなく、「自宅(ファーストプレイス)でも職場(セカンドプレイス)でもない、心地よく過ごせる第三の場所(サードプレイス)」という体験価値を打ち出してきました。落ち着いた店内デザインやBGM、バリスタとのコミュニケーション、モバイルオーダーなどのデジタル施策を組み合わせることで、商品そのものだけでなく、居心地の良い空間や利便性まで含め、顧客とのさまざまな接点で一貫した体験を設計している点が特徴です。
NIKEは、通常のECサイトでの販売に加えて、専用アプリ「SNKRS」や会員プログラム「ナイキ メンバーシップ」を通じて、アプリならではの購買体験を提供しています。SNKRSアプリでは、抽選対象の店舗限定シューズをアプリ上で確保し、近くの店舗で受け取れる仕組みを用意。またナイキ メンバーシップに登録すると、常時送料無料に加えて、会員限定イベントや商品への優先アクセスといった特典を受けられます。通常の通販サイトを閲覧するだけでは気づきにくい体験ですが、アプリ経由での来店・受け取り動線や会員限定の特典設計を通じて、単なる商品販売にとどまらないブランドとの継続的な関係構築を図っている点が特徴です。
キッコーマンは、しょうゆなどの調味料を販売するだけでなく、レシピサイトや料理講習会、工場見学といった取り組みを通じて、料理を楽しむ体験や食文化そのものを伝える活動を続けています。商品を購入した後も、献立提案や調理方法の紹介など、商品をより便利に、楽しく活用するための情報を提供しています。商品を販売して終わるのではなく、食文化や料理を楽しむ体験まで含めて、顧客との継続的な接点をつくっている点が特徴です。
最後に、顧客体験価値の向上に取り組む際に意識しておきたい注意点を4つ紹介します。
顧客体験価値の向上は、マーケティング部門やカスタマーサポート部門だけで完結するものではありません。営業、商品開発、経営企画まで含めた全部署が「顧客体験を最優先する」という価値観を共有して初めて、一貫性のある体験を届けられます。
MAツールやCDPといったシステムは、あくまで顧客体験を高めるための「手段」にすぎません。導入すること自体がゴールになってしまうと、本来の目的である体験価値の向上から遠ざかってしまうため注意が必要です。
顧客体験価値の向上はすぐに売上へ反映されるとは限りません。「今月の契約数」といった短期指標だけでなく、「推奨度(NPS®)の変化」など中長期的なKPIを継続的に追うことが求められます。
パーソナライズ施策を進めるうえでは、顧客がどのデータの利用に同意しているかを細かく管理し、適切なセキュリティ体制を構築することが欠かせません。利便性の追求と個人情報保護は、両立させるべき前提条件です。

顧客体験価値は、商品・サービスそのものの機能だけでなく、認知から購入、利用、サポートに至る一連の接点を通じて生まれる、利便性や満足感、感情、印象などを含む体験全体の価値です。5つの経験価値を参考にしながら、自社の顧客体験を整理し、カスタマージャーニーマップの作成やVOCの収集、施策の実行、効果検証を繰り返すことが、顧客体験価値の向上につながります。
特にファミリー層・子ども向けの領域で顧客との継続的な接点をつくりたい企業にとって、社会体験アプリ「ごっこランド」は新たな顧客体験を設計するための有力な選択肢です。ぜひ自社の体験価値向上の一手としてご検討ください。
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