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ロイヤルティマーケティングとは?企業事例4選・手順・コツを解説

ロイヤルティマーケティングとは?企業事例4選・手順・コツを解説

最終更新:

2026/10/1

ロイヤルティマーケティングとは?企業事例4選・手順・コツを解説

「広告費をかけても新規顧客の獲得単価が下がらない」「一度購入してくれた顧客が、いつの間にか競合に流れている」。そうした課題から、既存顧客との関係づくりに目を向ける企業が増えています。そんななか、注目されているのが、顧客との継続的な関係を築き、企業やブランドへの愛着や信頼を高める「ロイヤルティマーケティング」です。

本記事では、社会体験アプリ「ごっこランド」を提供する株式会社キッズスターが、ファミリー層のファンづくりを支援してきた知見をふまえ、定義から手法、推進手順、成功事例までを解説します。

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ロイヤルティマーケティングとは

ロイヤルティマーケティングとは、既存顧客に継続的な価値や体験を提供することで、企業やブランドへの愛着・信頼を高め、継続利用やリピート購入、LTV向上などにつなげていくマーケティング手法です。

ロイヤルティマーケティングでは、顧客の購買状況や関係性を把握し、それぞれに適した価値を提供していくことが重要です。代表的な施策として、購入金額や利用頻度などに応じたポイント・特典の提供や、イベントへの招待、顧客ごとに最適化したコミュニケーションなどがあります。一律の販促だけでなく、顧客との中長期的な関係を意識して施策を設計することがポイントです。

一般的な販促・値引き施策と、ロイヤルティ向上を目的とした施策の違いを整理すると、次のようになります。

観点

一般的な販促・値引き施策

ロイヤルティ向上を目的とした施策

対象

幅広い顧客を対象とすることが多い

顧客の状況や関係性に応じて設計する

提供するもの

値引き・クーポンなど

特典・体験・情報・コミュニケーションなど

主な目的

短期的な購買促進

継続利用や中長期的な関係構築

重視する視点

購買・利用の促進

愛着・信頼や継続的な利用


「既存顧客を大切にする」という方針だけでなく、どの顧客との関係を深めたいのか、どのような状態を目指すのか、そのためにどんな価値や体験を提供するのかを具体化することが重要です。具体的な進め方は、後述の「推進手順」で解説します。


顧客ロイヤルティとは

ロイヤルティは、英語の「loyalty」に由来し、忠誠心や愛着、信頼を意味します。顧客ロイヤルティは、次の2つの側面から捉えられます。

  • 心理的ロイヤルティ:ブランドそのものへの好意や共感、信頼といった感情面のつながり。アンケートやインタビューで把握する

  • 行動的ロイヤルティ:購買頻度、継続期間、購入金額など、実際の行動に表れるつながり。購買データやログで把握する

心理的ロイヤルティと行動的ロイヤルティは、必ずしも一致するとは限りません。ブランドへの好意や信頼があっても購入につながらない場合がある一方、価格や利便性などを理由に継続購入していても、ブランドへの愛着が高いとは限りません。そのため、顧客ロイヤルティを把握する際は、心理面と行動面の両方を見ることが重要です。

補足:「ロイヤルティ」と「ロイヤリティ」の違い

カタカナの「ロイヤルティ」「ロイヤリティ」は、英語の発音の揺れによる表記違いで、どちらを使っても誤りではありません。ただし、もとになる英単語が2つあるため、文脈での読み分けが必要です。

もとになる英単語

意味

使われる場面

loyalty

忠誠心・愛着・信頼

顧客ロイヤルティ、ブランドロイヤルティ、従業員ロイヤルティ

royalty

権利の使用料

著作権・特許権・商標の使用料、フランチャイズの加盟店が支払う対価

本記事では、loyalty の意味で「ロイヤルティ」に表記を統一しています。


顧客満足度、顧客エンゲージメントとの違い

顧客ロイヤルティと混同されやすいのが、顧客満足度と顧客エンゲージメントです。3つは測っている対象と時間軸が異なります。

用語

測っているもの

時間軸

代表的な指標

顧客満足度

商品・サービスが顧客の期待を満たしたかどうかの評価

取引・接点ごとの短期的な評価

満足度スコア、アンケート評価

顧客ロイヤルティ

企業・ブランドへの愛着と、使い続けたい・薦めたいという意向

中長期的な関係

心理面:NPSなど

行動面:リテンションレート、購買頻度など

顧客エンゲージメント

企業と顧客の接点における関わりの深さ・能動性

継続的な接点の蓄積

利用頻度、コミュニティ参加率、投稿数


注意したいのは、満足度が高くても再購入されるとは限らない点です。

ロングセラーブランド「ベビースター」を展開するおやつカンパニーは、2025年9月の自社調査で、ブランド名を提示した際の助成認知率が97%超、認知者のうち92%が食べた経験ありという結果を得ています。それにもかかわらず、直近1年間で「最近食べた」と答えた人は多くありませんでした。理由を尋ねると、最も多かった回答は「特に理由はない」です。商品への不満があるわけでも、嫌いになったわけでもなく、購入する瞬間に候補として思い出されていない状態でした。実際、ポテトチップス以外で購入したいスナック菓子を自由回答で尋ねた同社の調査では、ベビースターは純粋想起で6番目にとどまっていました。

満足しているかどうかと、選ばれ続けるかどうかは別の問題です。満足は関係づくりの前提条件であって、それだけで継続や推奨が生まれるわけではありません。

詳しい取り組み内容は、おやつカンパニーのブランド戦略に関するインタビュー記事で紹介しています。

なお、ロイヤルティの指標としてよく使われるNPSは、他者に薦めたいかという推奨意向を尋ねる指標です。ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの登録商標として知られています。

ロイヤルティマーケティングが重視される4つの理由

ロイヤルティマーケティングが多くの企業で重要視されるようになった背景には、市場環境の変化があります。主な理由は次の4つです。

  • 市場が成熟し、商品・サービスの差別化が難しくなったため

  • 新規顧客の獲得には相応のコストがかかるため

  • 顧客維持がLTVの向上につながるため

  • SNSなどの口コミが、新規顧客獲得に影響するため

市場が成熟し、商品・サービスの差別化が難しくなったため

多くのカテゴリーで機能や品質が一定の水準に達し、スペックだけで優位性を示すことが難しくなりました。商品・サービスによっては、機能や品質だけでは競合との差を維持することが難しくなる場合があります。

そこで各社が力を入れているのが、購入前後を含めた顧客体験の設計です。どのように知り、どのように買い、購入後にどう扱われるか。こうした顧客体験の積み重ねは、企業やブランドへの愛着や信頼を育み、価格や機能以外の理由で選ばれるきっかけにもなります。

新規顧客の獲得には相応のコストがかかるため

マーケティングでは、新規顧客への販売には既存顧客への販売より多くのコストがかかるという「1:5の法則」が経験則として知られています。この法則は、ベイン・アンド・カンパニーの名誉ディレクターを務めたフレデリック・F・ライクヘルドが見出したものとされています。ただし、実際のコスト差は業種やビジネスモデルによって異なります。

新規顧客の獲得だけでなく、既存顧客との関係を維持・深化させることも重要です。既存顧客の継続利用やリピート購入につなげることで、新規獲得と顧客維持の両面から事業成長を目指すことができます。

顧客維持がLTVの向上につながるため

顧客ロイヤルティの向上は、継続利用やリピート購入、購買頻度の向上などにつながる可能性があります。こうした顧客行動は、LTVを高めるうえでも重要な要素です。

顧客維持の重要性を示す考え方として、「顧客離反率を5%改善すると、利益が25%以上改善する場合がある」とする、同じくライクヘルドが提唱したとされる「5:25の法則」が紹介されることがあります。ただし、実際の影響は業種や収益構造によって異なります。

【内部リンク:新規記事No.7「LTV最大化」】

SNSなどの口コミが、新規顧客獲得に影響するため

ロイヤルティの高い顧客が、自発的に周囲へ商品を薦めたり、SNSなどで口コミを発信したりすることがあります。こうした推奨行動は、新たな顧客との接点につながる可能性があります。

消費者庁の「令和6年版消費者白書」によると、購買行動の際に重要となる情報源として「家族・友人・知人」を挙げた人の割合は36.1%と最も高く、次いで「インターネット記事やブログ」が29.9%でした。15〜29歳では「SNS」が58.3%と突出しています。

このように、商品・サービスを選ぶ際には、企業からの情報だけでなく、家族・友人・知人やSNSなどから得られる情報も重要な判断材料となっています。顧客自身による口コミやUGCは、企業からの広告とは異なる形で情報が広がり、新たな顧客との接点を生み出すきっかけになります。

ロイヤルティマーケティングの主要な手法7選

ロイヤルティを高める手法は1つではありません。重要なのは流行の施策を選ぶことではなく、自社が抱えている課題に合うものを選ぶことです。代表的な7つの手法と、それぞれが向いている課題を整理しました。


手法

特長

向いている課題

One to Oneマーケティング

顧客データをもとに、一人ひとりに合わせた情報を最適なタイミングで届ける

顧客データはあるが活かせていない

アンバサダー制度

熱量の高い顧客を公式に認定・支援し、体験談やレビューの発信を促す

熱心なファンはいるが発信が広がらない

リファラルプログラム

既存顧客による紹介を仕組み化し、新規顧客との接点づくりにつなげる

新規獲得コストが高止まりしている

ポイント制度・会員ランク制度

購買額や頻度に応じた特典を提供し、継続利用の動機をつくる

購入が単発で終わり、リピートしない

カスタマーエクスペリエンス向上

購入前後の接点における顧客体験の質を高め、継続利用につなげる

解約・離脱の理由が特定できていない

異業種の企業とのパートナーシップ

他社との連携により、自社単体では提供できない体験価値を生み出す

自社だけでは接点の幅を広げられない

ファンコミュニティ

顧客同士・顧客と企業が交流できる場をつくる

顧客同士のつながりを資産にしたい


One to Oneマーケティング

購買履歴や閲覧履歴、興味・関心を示すインテントデータを分析し、顧客一人ひとりのニーズに合わせた情報を届ける手法です。

全員に同じ内容を一斉配信するのではなく、購入したばかりの顧客には使い方の提案を、しばらく購入のない顧客には再訪のきっかけを届けるといった出し分けを行います。顧客の状況やニーズに合わせた情報を届けることで、継続的な関係づくりにつなげることが期待できます。

アンバサダー制度

ブランドへの熱量が高い顧客を公式にアンバサダーとして認定し、新商品の先行体験や交流機会などを提供しながら、発信を後押しする手法です。

企業が語るよりも、実際の利用者による体験談やレビューが、ほかの顧客にとって参考になることがあります。アンバサダーとして継続的にブランドと関わる機会を設けることで、口コミや情報発信を促すことが期待できます。

リファラルプログラム(お友達紹介制度)

既存顧客が友人や同僚を紹介したくなる特典や仕組みを整え、新規顧客との接点づくりにつなげる手法です。

知人からの紹介は、企業からの広告とは異なる形で商品・サービスを知ってもらうきっかけになります。紹介した側にも特典が届く設計にすることで、既存顧客にとっても参加するメリットをつくることができます。

ポイント制度・会員ランク制度

購買額や利用頻度に応じてポイントや特典を提供し、継続利用の動機をつくる手法です。ロイヤルティプログラムの中でも広く活用されている手法のひとつです。

ただし、還元率の高さだけで競うと、価格や特典の条件が継続利用の主な理由となる可能性があります。ランクに応じた限定体験や先行案内など、金銭以外の価値を組み合わせることが重要です。

カスタマーエクスペリエンス(顧客体験)向上

認知から購入、利用、サポートまで、一連の接点における顧客体験を改善していく取り組みです。

取り組む際に考慮したい要素のひとつが、顧客との接点の「頻度」です。年に数回しか利用機会のない業態では、利用時の体験を改善するだけでなく、次の利用までの接点をどのようにつくるかという視点も重要になります。

388施設(2024年12月時点)を運営するルートインホテルズは、この課題に対して、宿泊中以外の接点を増やすという方法をとりました。同社はもともとビジネス利用の顧客が大半で、ファミリー層に「また泊まりたい」と思ってもらえる体験をどうつくるかを検討していました。そこで、自宅でもブランドに触れてもらえる仕組みを取り入れ、一過性で終わらない継続的な体験を届けることを狙っています。詳細はルートインホテルズの顧客体験づくりに関するインタビュー記事をご覧ください。

サイトの使いやすさや問い合わせ対応の速さといった一回ごとの品質改善に加えて、「次に思い出してもらうまでの間をどう埋めるか」を設計に含めることが、継続的な顧客接点をつくるうえでのポイントになります。

異業種の企業とのパートナーシップ(業務提携)

他社サービスとの連携や、顧客を巻き込んだ共創イベントなどを通じて、自社単体では提供できない体験価値を生み出す手法です。

ポイントの相互交換や共同キャンペーンのように、互いの顧客基盤に接点を広げられる点も特徴です。自社と親和性のある企業と連携することで、それぞれの強みを生かした顧客体験を設計できます。

ファンコミュニティ

顧客同士、あるいは顧客と企業が交流できる「場」をつくり、継続的なコミュニケーションを促す手法です。企業から顧客への一方向の情報発信だけでなく、顧客同士が交流できる接点をつくれる点が特徴です。

一方で、コミュニティは参加してくれるファンがいて初めて機能します。そもそもブランドを知っている人や好意を持っている人が少ない段階では、場を用意しても人が集まらず、十分に活用されない可能性があります。

その場合は、コミュニティの立ち上げに先立って、ブランドとの接点を広げる施策に取り組むことも選択肢のひとつです。ファンコミュニティの運用方法やメリット、成功事例はこちらの記事で詳しく解説しています。

ファミリー層や子どものファンを新たに創出したい場合には、社会体験アプリ「ごっこランド」という選択肢もあります。累計ダウンロード900万以上のごっこランドで、親子との接点をつくる方法を見る

ロイヤルティマーケティングの推進手順

ロイヤルティマーケティングは、施策を単発で実施するのではなく、現状把握から改善までを一連の流れとして継続することが重要です。ここでは6つのステップに分けて解説します。

1. 現状を把握する(顧客ロイヤルティに関する指標を確認する)

最初に行うのは、自社の顧客ロイヤルティの現状を、心理面・行動面・事業成果など複数の側面から把握することです。関連する指標を継続的に確認することで、施策前後の変化を検証しやすくなります。主に用いられる指標は次のとおりです。

  • NPS:他者に薦めたいかを0〜10で尋ね、推奨者の割合から批判者の割合を引いて算出する指標

  • リテンションレート(顧客維持率):一定期間後に取引が継続している顧客の割合

  • 解約率(チャーンレート):一定期間に離脱した顧客の割合

  • LTV:一人の顧客が取引期間全体を通じてもたらす利益

  • 購買頻度・客単価:行動的ロイヤルティの変化を捉える基礎データ

推奨意向を測るNPSと、継続状況を示すリテンションレートや購買頻度、事業成果を示すLTVなどを組み合わせることで、心理面・行動面・事業成果を複数の視点から確認できます。

業態によっては、自社の課題に合わせた指標を独自に設けるほうが実態をつかめます。前述のおやつカンパニーは、喫食頻度に応じて顧客を分類し、頻度の低い「ライト・ウルトラライト層」を第一のターゲット、1年以上食べていない「離反層」を第二のターゲットと位置づけています。あわせて、購入候補として思い出されているかを測るために純粋想起を追っています。

この「どの層を動かしたいのか」を先に決めておくことが、次のステップのKPI設定を具体的にします。

2. 目的を明確にし、KPIを設定する

次に、どの事業課題を解決したいのかを言語化します。「解約率を下げたい」「客単価を上げたい」「口コミを増やしたい」では、選ぶべき施策が変わるためです。

目的が定まったら、定量的なKPIに落とし込みます。ロイヤルティ向上は成果が表れるまでに時間がかかるため、最終的な売上だけでなく、NPSや継続率といった中間指標も併せて設定しておくと、途中経過を評価できます。

3. カスタマージャーニーを作成する

顧客が認知から購買、継続利用に至るまでの行動・感情・接点を描き出します。どの段階でどのような体験を提供すべきかを整理するための工程です。

作成の際は、社内の想定だけで完結させないことが重要です。ステップ1で集めた顧客の声やデータを反映させることで、実態と乖離しないジャーニーになります。離脱が起きている箇所や、期待に届いていない接点が浮かび上がれば、優先して手を入れるべき領域も見えてきます。

4. 自社に最適な施策を選定する

課題と顧客像に合わせて、前章で紹介した7つの手法から施策を選定・設計します。

このとき、顧客の気持ちに寄り添う施策を選ぶだけでなく、「ブランドらしさ」を表せるかどうかも判断軸に加えてください。自社ならではの理念や強みと結びつけることで、ブランドらしさを感じてもらえる施策を設計しやすくなります。

5. プロモーションを実行し、顧客体験の最適化を図る

担当者やツールを含む社内体制を整えたうえで、施策を実行します。

実行段階で気をつけたいのは、顧客に押し売り感を与えないことです。ロイヤルティを高める取り組みのはずが、過度な販促に寄ると逆効果になりかねません。自社のパーパスやブランドらしさに立ち返りながら、顧客にとっての価値を軸にコミュニケーションを設計します。

6. 効果検証・改善を行う(PDCAを回す)

設定したKPIの達成度と、NPSなど顧客の反応の変化を分析し、プログラムを継続的に更新します。

改善方法のひとつとして、低い評価をつけた顧客へ個別にフォローする仕組みがあります。不満の理由を聞き取り、改善に反映することで、商品・サービスや顧客体験を見直すヒントを得られます。また、年1回の大規模調査だけでなく、必要に応じて各接点でも顧客の反応を確認することで、継続的な改善につなげやすくなります。

ロイヤルティマーケティングに取り組む企業事例4選

ここからは、実際に顧客ロイヤルティの向上に取り組んでいる企業の事例を4つ紹介します。取り組み内容と成果、ポイントを合わせて見ていきます。

スターバックス|会員プログラム「Starbucks Rewards」

主な取り組み

スターバックス コーヒー ジャパンは、2017年に「Starbucks Rewards(スターバックス リワード)」を導入しました。Web登録済みのスターバックス カードでの支払い60円(税込)ごとに1つのStarがたまり、Starの数に応じてドリンクやフード、コーヒー豆などと交換できるeTicketを受け取れます。会員ステータスはGreen会員とGold会員の2段階で、1年間に250 StarsをためるとGold会員となり、One More Coffeeの会員価格やビバレッジの先行販売といった特典が加わります。

2025年3月には、会員アンケートで要望の多かった500円分のeTicketを追加し、交換対象をビバレッジ、フード、コーヒー豆、ティーへ拡大するプログラム刷新を実施しました。さらに2026年9月には、会員登録をしなくてもリワードに参加できる「アプリ仮会員」の提供を開始し、モバイルオーダー&ペイでのPayPay決済にも対応しています。

成果

会員数は2026年8月末時点で2,070万人に達しています。2025年3月の刷新時点では約1,500万人で、2017年の導入時と比べて約10倍に成長したと公表されていました。

取り組みのポイント

ポイント還元にとどまらず、会員アンケートの結果を交換内容の刷新に反映させている点が挙げられます。また、登録の手間が参加の障壁になっていたという声に対し、仮会員という形で入口を広げるなど、顧客の声を起点にプログラムを更新し続けています。

ANA|ANAマイレージクラブ(AMC)

主な取り組み

ANAは、マイレージプログラム「ANAマイレージクラブ」を軸に、フライト以外の日常消費でもマイルがたまる仕組みを広げています。その一つがスマートフォン決済サービス「ANA Pay」で、ANAマイレージクラブ アプリから利用でき、200円の決済ごとに1マイルがたまります。保有マイルを1マイル1円相当としてチャージし、日々の買い物に使うこともできます。

成果

ANAマイレージクラブの会員数は約4,700万人です(2025年度実績平均)。ANA Payは2023年5月の大幅リニューアル後、利用額が当初目標の3倍以上に拡大し、リリースから1年5か月で累計会員数100万人を達成しました。ANA Payの利用者はANAマイレージクラブ会員全体と比べて20代〜30代の割合が高く、コンビニやスーパー、交通系ICへのチャージなどに使われています。

取り組みのポイント 

フライト以外の日常生活でもマイルをためたり使ったりできる仕組みを設け、顧客との接点を広げている点が特徴です。マイルという共通の価値を軸に、航空以外の生活シーンへ利用の場を広げています。

AWS Japan|ユーザーコミュニティ・認定資格・イベントによる顧客エンゲージメント

主な取り組み

アマゾン ウェブ サービス ジャパンは、AWSユーザーによる非営利のコミュニティ「JAWS-UG(Japan AWS User Group)」の活動を支援しています。JAWS-UGは全国各地の地域支部と、コンテナ、セキュリティ、初心者向けなどテーマ別の専門支部で構成され、ボランティアによる勉強会や交流イベントが運営されています。あわせて、クラウドスキルを検証する資格制度「AWS認定」を提供し、役割別・専門分野別の認定を通じて学習の道筋を示しています。

成果

JAWS-UGを中心とした日本のAWSユーザーグループでは、2024年の勉強会開催数が538回、申込者数が27,754人となり、いずれも過去最大の規模となりました。2023年から2024年にかけて、ハイブリッド開催は339回から403回(19%増)、申込者数は18,222人から22,159人(22%増)へと増加しています。また、コミュニティの発展に貢献したメンバーを表彰する「AWS Samurai」も実施されています。

取り組みのポイント

企業が主導するセミナーではなく、ユーザー自身が運営する場を支援する形をとっている点が挙げられます。利用者同士が知識や課題を共有できるコミュニティを支援し、継続的に学習・交流できる接点をつくっている点が特徴です。

チューリッヒグループ|顧客体験向上・データ活用施策

主な取り組み

チューリッヒ生命は、お客さま本位の業務運営方針の定着度合いを測るKPIとして、「期末お客さま数」「説明の分かりやすさ(コールセンター)」とあわせて、推奨意向を測るNPSを設定し、実績を公表しています。NPSに関するアンケートで低い評価をつけた顧客には、後日お客様サービス担当部門から電話で意見・要望を聞き取り、その内容を「お客様サービス向上委員会」へ報告する仕組みを運用しています。

成果

顧客から寄せられた声は「お客様相談部」が一元管理し、業務改善を推進する「お客様の声改善部会」を毎月開催しています。経営層が参加する「お客様サービス向上委員会」も毎月開催され、改善内容の審議結果は経営会議に報告されます。2026年6月には、2025年度までのKPI実績が公表されました。

取り組みのポイント

NPSを測定して終わりにせず、低評価の顧客への個別フォローから委員会での審議、経営会議への報告までを定例の業務プロセスに組み込んでいます。顧客の声が改善につながる経路が制度として定められている点が特徴です。

ロイヤルティマーケティングを進める4つのポイント

事例に共通する要素を踏まえると、取り組みを進めるうえで押さえたいポイントは次の4つに整理できます。

  • 自社ブランドの特長・強みをベースに施策を選ぶ

  • 顧客データを活用し、一人ひとりに適したコミュニケーションを行う

  • 短期的な売上を求めず、中長期視点で取り組む

  • 従業員ロイヤルティ向上も同時に推進する

自社ブランドの特長・強みをベースに施策を選ぶ

他社の施策をそのまま取り入れるだけでは、自社の顧客に十分な価値を提供できない可能性があります。ポイント制度やコミュニティなどの施策も、自社の顧客やブランドに合わせて設計することが重要です。

施策を設計する際は、自社の経営理念やブランドの強みを起点に考えることが重要です。自社が大切にしている価値観を反映した体験を設計することで、ブランドらしさを伝えやすくなります。

顧客データを活用し、一人ひとりに適したコミュニケーションを行う

CRMに蓄積された購買データや問い合わせ履歴を分析し、一律の一斉配信ではなく、顧客の状況に応じた情報発信を行います。

すべてを高度に自動化する必要はありません。購入直後、一定期間利用のない顧客、ランクが上がった顧客といった状況に応じて分類することで、それぞれに適した情報を届けやすくなります。まずは手元のデータで分けられる軸を探してみてください。

短期的な売上を求めず、中長期視点で取り組む

ロイヤルティは短期間で形成されるものではないため、中長期的な視点で取り組むことが重要です。短期的な売上だけを重視するのではなく、顧客との継続的な関係づくりとのバランスを考えて施策を設計する必要があります。

実務で壁になるのは、社内の合意形成です。

カラオケブランド「JOYSOUND」を展開するエクシングでは、中長期のブランディング施策を検討した際、社内に慎重な意見があったといいます。当時、具体的な施策を伴う中長期のブランディング戦略に挑戦する例が社内に少なく、投資への慎重論が出たためです。同社は「将来のブランド価値向上のための投資である」という位置づけを丁寧に説明し、同意を得たうえで実行しました。この種の施策は単年で判断するのではなく、継続的に取り組むことが重要だと考えたためです。担当者は、施策を通じて何を実現したいのかという目的を明確にしたうえで設計することの重要性も挙げています。

成果が出るまでに時間がかかることを前提に、何をもって進捗と見なすかを先に決め、社内で共有しておく。この準備が、施策を単年で打ち切らせないための実務的な備えになります。取り組みの詳細は、JOYSOUNDの中長期ブランディングに関するインタビュー記事で紹介しています。

従業員ロイヤルティ向上も同時に推進する

従業員のエンゲージメントや働く環境も、顧客体験を支える重要な要素です。

1994年にハーバード・ビジネス・レビューで発表された「サービス・プロフィット・チェーン」では、従業員満足や従業員ロイヤルティ、サービス価値、顧客満足・顧客ロイヤルティ、企業の収益性などの関係性が示されています。顧客向けの施策だけでなく、インナーブランディングや働く環境の整備にも目を向けることが重要です。

ロイヤルティマーケティングに関するよくある質問

最後に、ロイヤルティマーケティングについてよく寄せられる質問にお答えします。

ロイヤルティマーケティングのメリットは?

ロイヤルティマーケティングに取り組むことで、継続利用やリピート購入の促進、LTV向上、口コミによる新たな顧客接点の創出などが期待できます。主なメリットは次のとおりです。

  • 継続利用や顧客維持につながる可能性がある

  • クロスセル・アップセルの機会をつくれる

  • 口コミや推奨につながる可能性がある

  • 顧客との中長期的な関係構築につながる

こうした顧客との関係が継続することで、中長期的なLTVの向上や収益基盤の安定化につながることが期待できます。

BtoB企業でもロイヤルティマーケティングは有効?

BtoB企業でもロイヤルティマーケティングを活用できます。BtoBでは1社あたりの取引額や契約期間が大きくなるケースもあり、既存顧客との継続的な関係づくりは重要です。

カスタマーサクセスによる活用支援や、ユーザーコミュニティを通じた顧客同士の情報交換が代表的な施策です。前述のAWS Japanの事例のように、ユーザーが主体となって学び合う場が、サービスの定着を支えるケースもあります。

ロイヤルティマーケティングで予算が少ない場合には、何から始めればいい?

高額なシステム導入から始める必要はありません。まずは既存顧客へのNPSアンケートやユーザーインタビューを実施し、顧客の生の声を集めるところから着手するのがおすすめです。

集めた声を分析すれば、どの接点に不満が集中しているかが見えてきます。そのうえで、メール配信の内容を顧客の状況別に出し分けるなど、既存のツールで実行できる改善から進めると、費用を抑えながら施策への反応を確認できます。

ごっこランドを活用して、ファミリー層・子どものファンを創出しよう

ロイヤルティマーケティングは、現状把握からKPI設定、カスタマージャーニーの作成、施策の選定・実行、効果検証までを継続的に行う取り組みです。また、ファンコミュニティなどの施策では、既にブランドとの接点や好意を持つ顧客が一定数いることが重要になります。

「これからファミリー層や子どものファンを増やしたい」という企業には、社会体験アプリ「ごっこランド」がおすすめです。

ごっこランドは、実在する企業のお仕事や商品・サービスを子どもが体験できる知育アプリです。累計ダウンロードは900万以上、90以上の企業・ブランドに出店いただき、200以上の体験コンテンツを展開しています。毎月7〜8万人の新規ユーザーがダウンロードしており、1社あたり毎月平均15万回以上遊ばれ、1人あたりのプレイ時間は平均3分です。アプリ全体の月間平均プレイ回数は2,000万回以上で、ユーザーの8割が親子一緒に利用しています。

子どもが繰り返し遊べる体験を通じて、企業・ブランドへの理解や親近感を深める機会をつくれるほか、親子で企業や商品について会話するきっかけにもなります。子どもとその保護者に継続的な接点をつくれる点も特徴です。コンテンツは企業ごとにオーダーメイドで開発し、それぞれの商品・サービスやブランドの特徴を体験として届けます。

本記事で紹介したおやつカンパニーでは、出店前後のブランドリフト調査において、ベビースターまたはブタメンを月1回以上食べる人の割合が9.7ポイント上昇し、課題としていた純粋想起(上位3番目までに挙げた人の割合)が18.8ポイント上昇しました。

出店企業の取り組みと成果は、ごっこランドの導入事例インタビュー一覧でご覧いただけます。

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ごっこランドについて

国内900万以上のファミリーが利用する社会体験アプリ「ごっこランド」。
実在する企業のお仕事体験などのコンテンツを通じ、インタラクティブに遊びながら社会のしくみを学べる国内最大級の知育アプリです。

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